金融系社内SEの仕事内容とプロジェクト管理の生の実情

社内SEはステークホルダーの橋渡し役

私が携(たずさ)わっている金融系の社内SE業務は、システム開発案件に絡む役員との合意形成、開発ベンダーとの仕様決めやスケジュール調整、部署間の調整等がひとつの役割としてあります。また、私が配属されている部署は、システム統括部門なので経営陣からの要望や部署から上がってくる要望等も集まってきます。逆にシステム部門から案件を起案し、ボトムアップで開発を進めるケースもあります。

開発は役員と合意形成を踏むことから始まる

開発案件を進める上で、必ず必要なのが経営陣との合意形成です。会社の規模にもよりますが、大きな企業だと事業部長が決裁権を持ったりします。私の会社は中小企業なので金額によって社長の決裁が必要だったり、事業部長クラスだけの決裁だけで案件を進められるケースもあります。

ブラック企業でシステムエンジニア(以下、SE)として開発をやっていた頃は、(立場も低かったため)役員とやりとりする事は一切ありませんでした。SEは決められた仕様通りにシステムを構築するだけなので、役員にプレゼンテーションなどするはずもなく、設計書のレビューでプロジェクトマネージャーや関係者に淡々と説明するだけでした。

しかし、社内SEという立場になってから、直接社長や役員に現状の課題や投資効果等を説明する機会が増え、開発案件のプレゼンテーションを行うようになりました。開発は発注するユーザーがいて初めてプロジェクトが動くことをこの時実感しました。SEをやっていた頃は、「期限内にいかに実現するか?」しか考えていなかったため、発注するユーザーなど微塵も頭にありませんでした。

ボトムアップ案件の決裁をもらうためには根回しが必要

経営陣から号令がかかるトップダウンの案件は、決裁権を持っている役員がやると決めているので、私たち社内SEの兵隊達は、実現に向けて社内調整や開発ベンダーとの調整に着手します。一方、ボトムアップで進める案件は、説明責任が伴うため、投資するからにはリターンが見込めるビジネス案件だったり、必要性や根拠等をしっかり説明することになります。

最も苦労するのが理屈だけでは人は動かないということです。収益性が見込めるビジネス案件でも、決裁権を持つ人は、感情を持つ人間なので理屈だけでは動かないケースも多々あります。なぜならビジネスは感情も入ってくるからです。感情とは、ビジネスに対する思いや考え方に当てはまりますが、感情が入ってくると現場と経営間でズレが起こりやすいです。

どうしても進める必要があると思えば、提案内容をブラッシュアップしながら根気よく説明します。また、決裁権を持つ人に対して発言力のある人にも協力を仰ぐこともあります。それでもダメな時は、時期をあらためてタイミングを見計らって再度提案することにしています。このように社内SEは、人間関係や相手の思いなどを把握しながら成果を出すための行動が求められる職種です。

社内SEはとにかくミーティングが多い

社内SEをやっていると、ミーティングで1日がつぶれてしまうこともザラにあります。業務内容は会社によって異なりますが、私の部署はデータベース(オラクル)もいじれるため、営業部署からのデータ集計依頼や抱えている案件の調整等、多岐に渡るため、大きな案件を動かしているときは特に忙しくなります。

社内SEのミーティングで特に多いのがシステムベンダーとのやりとりです。各週に行う定例や開発案件に関わる仕様決めミーティング、外部からくる提案営業とのやりとり、部署内の定例などがあります。

このようにミーティングが多いと、抱えているタスクも進まないのでコントロールも求められます。一人でテンパっても仕方ないので上司と相談しながら、自分のキャパシティを超えないタスク管理も必要になってきます。

SE時代のスキルを活かせる

社内SEになるとITスキルは求められませんが、技術を持っていれば必ずどこかで活かせるタイミングがきます。私の場合は、営業部署向けの集計バッチや部署内で活用できるツールなどに活かしています。ただし、あまりITスキルを求めすぎると違った方向に行ってしまうので注意が必要です。

社内SEはコミュニケーション力があると社内で上手に立ち回ることができます。ただし、立場上、社内政治に巻き込まれたり、ゴマすり社員を目の当たりにしたり、会社の気持ち悪い面も多く見えるポジションなので、エンジニア気質が強いと自分の中で消化しきれなくなります。

なお、ここで言うコミュニケーション力とは、単に会話上手のことではなく、相手の気持ちを汲み取れたり、配慮できたりと目に見えない会話術を指しています。社内SEに求められるコミュニケーション力については、別の章であらためて詳細に説明します。

まとめ

社内SEといっても環境によって業務内容は大きく異なります。小さな企業だとインフラまでこなすスーパーエンジニアがいるかもしれませんが、私の場合は、プロジェクトマネジメントに特化した社内SE業務をこなしています。

仕事内容を細分化すれば、もっと多くの業務はありますが、大まかに説明すると、先に述べた内容となります。もし、あなたがブラック企業に勤めて不満を感じているなら、転職という手段も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

あなたのスキルと人間性を求めている企業は、必ずどこかにあります。「自分に社内SEが務まるのかな?」「社内SEに応募する資格はあるのかな?」など不安に感じて行動できずに立ち止まってしまう方もいるかもしれませんが、採用側は、そのような視点であなたを見ていません。

採用側が見るのは、情熱(志望動機と説得力)・プレゼンテーション能力(職歴の説明)・話し方・雰囲気などであり、フィーリングに近いもので判断をしています。だからこそ、不安になって萎縮してしまうのはもったいないです。ブラック企業で安くこき使われるくらいならという気概を持って、まずはどのような求人があるのか転職エージェントに確認するだけでも大きな一歩になります。



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